この記事はある人材紹介会社で営業担当をしている、入社してやっと半年が過ぎたばかりの新人が書いている。なので、今回のセミナーのメインテーマを実のところあまり理解できていないかもしれない。今回のメインテーマは、ずばり「ダブルキャリア」。ダブルキャリアとは企業に所属し会社員として働く一方で、それとは別に違う仕事をしていること、すなわち副業のようなものである。


なので、須藤さんとお会いする機会を作っていただいた主催者様の意図する本当のところと違ってしまい大変申し訳ないが、正直言って社会人歴半年、目の前の仕事を毎日なんとかミスをしないようにこなすので精一杯の著者にとって、ダブルキャリアという働き方はまったくイメージが沸かないのが正直なところ。だが、須藤さんの仕事や人に対する考え方、話している人の言わんとすることを、きちんと誤解なく100%で理解しようとし、それに対して丁寧に応えていく姿勢は刺激になるし、どんな人なんだろうと興味が掻きたてられた。


補足しておくと、須藤さんは普通に暮らしていてもなかなか会えないようなすごい方だ。それは経歴もそうだし、仕事の仕方、考え方も。早稲田大学を卒業後、大手出版会社のリクルートに入社し現在5年目のサラリーマン。新卒で入社後、3年間マーケティング部門でチーフプランナーとして活躍後、新事業の立上げを担当し、現在も同社で活躍している。須藤さんが普通のサラリーマンと違うのはここからである。サラリーマンとして企業に勤める傍ら、他に2社のベンチャー企業の取締役を勤め、個人でも業務委託で数社からの依頼を受けている。


これだけのキャリアがあると一見なんだかすごそうでプライドが高く、近寄りがたい感じの人のように思うかもしれない。きっと頭が良くて、仕事がバリバリできて、自信家で勢いもある、若くして企業を立ち上げたベンチャー企業の20代の社長みたいなイメージだ。


でも実際の須藤さんは違った。須藤さんがなかなか会えない方だと感じる本当の理由はそこにある。


ナチュラルで謙虚、自然体で生きていて、無理していない。リクルートでの仕事も取締役としての仕事も個人での業務委託も、全部自分でやりたいからやっている。時間的にも物質的にも他の人の倍以上働いているはずだから、体力的にしんどいときは絶対あると思うが、精神的に辛そうな感じが全く伝わってこない。話を聞いているとあまりにも当たり前のことのように自然にダブルキャリアをしているから、すごいことをやっている人ということも忘れそうだ。


それは、須藤さん自身が自分のことを特別すごいと思っていないし、どの仕事も全部自分のためにやっているからだろう。ダブルなんて二つのことだから、シングルより大変なはずなのに、いい意味でそのすごさが伝わってこないのだ。


須藤さんがダブルキャリアをするきっかけとなったのは入社3年目、マーケティング部門から新規事業の立上げをする部門に異動になったときだ。インターネット関連の新規事業を立案・実行する部署だったが、新しく上司となった人とはそりが全く合わなかった。入社当時から上司の間違えは部下が正すものと教えられ、上司・部下関係なく自分の考えをはっきりと主張してきた須藤さんと、部下が上司に口答えするなんてあるはずもないと考える転職組の上司のペアはうまくいかず、だんだん仕事を回してもらえなくなった。結果、時間に余裕をもてあました須藤さんは、自分でも小さなビジネスを始めた。


元からネットビジネスには興味があった。大学生のときにほんの遊びで各企業の内定者のエントリーシート記入例を集めて公開するという就活応援サイトを作った。それからはリクルートの仕事の傍らやっていた小さなサイトだったが、この機会にと本格的に取り組み始めた。2006年にはネットビジネスのログインという会社を立上げた。そのうちサイトの運営だけでなく、コンサルティングも頼まれるようになり仕事の幅が広がった。


その後、ダブルキャリアという会社の社長である村井さんとの出会い。現在はダブルキャリア社の取締役として活躍する一方、自身もクライアント企業に派遣され、新規事業の立上げ、出版の企画、プロモーションの企画等を企業に提案している。


須藤さんは、人の話や質問を真剣に聞いて、話している人が言わんとすることを100%理解しようとする。きちんとメモをとり、どんなに単純な質問であっても一つ一つ丁寧にきちんと、相手に伝わっているかを確認しながら答えていく。その人がなぜその質問をしているかを考え、何をどういう手順で答えれば一番伝わりやすいのかを、一瞬で頭の中で整理しているのだ。


普段聞かないようなビジネスの話、ダブルキャリアの話、須藤さんの仕事の仕方を聞いてお腹がいっぱいになってしまった私は、セミナーの最後に一つ質問をした。須藤さんが自分自身で一番強みと思っている部分は何だろう、という疑問が単純に沸いた。いろんなことが出来るし、いろんなことをやっている方に感じてよくわからなくなったからだ。


須藤さんは二つ答えをくれた。常に場の空気を読み、その場で自分に対して何を求められているかを考え、その期待をいい意味で裏切るようにしていること、そしてそのために自然と努力してしまっているところだと。


須藤さんが自然体でナチュラルに気負わずダブルキャリアをしているのは、きっと出会った人々や自分に仕事を依頼してくれた人々に対して、100%以上で応えられるよう常に努力しているからだろう

朝から晩まで仕事に追われていて・・・「時間的には頑張って働いているのに・・・どうも満足できない自分がいる」「今の働き方でいいんだろうか!?」「やりたいことが沢山あるけど、仕事、仕事で時間がない!!」

そんな風に思っている社会人は多いのではないだろうか。


私自身もそんな一人だからこそ、これからご紹介する「須藤憲司さん」の働き方・考え方には学ぶことが多く、衝撃の連続だった。今回の須藤さんの話しが、私と同じような悩みを持つ皆さんの、これからの毎日、そしてこれから長く続く社会人生活の一助となれば嬉しい。



 

116日(火)、港区の某所。

今回のスピーカーである“須藤憲司さん”について、私は「さぞ“仕事ができる”オーラを放っている、とっつきにくそうな人なんだろうなぁ」と、少し緊張気味でセミナーに臨んだ。話しを聞くだけでなく、こちらから質問をするというからなおさらだ(事前の情報がかなり少なかったため、妄想はどんどん膨らんでいた)。


しかし・・・実際に会場に現れたのは、茶髪に古着のジーンズ姿の、ごく普通(!?)の

青年。バリバリに仕事ができる!というオーラよりも、柔らかい物腰の感じのいい青年だった。一瞬、本当にこの方が須藤さん?と思ってしまう。


しかしこの須藤さん、なんと新卒で入社した「リクルート」の5年目社員として事業開発に携わりながら、現在、インターネットベンチャー(株)ログインの取締役、また同リクルート出身の先輩が立ち上げた「株ダブルキャリア」(※)の取締役を務め、さらには「ダブルキャリア」からの派遣先企業でも取締役を兼任。同時に、個人としても大手出版社よりの企画の相談を受けるなど、多くの仕事を並行して進めているのである。


須藤さんを前に、「ダブル、いやトリプルキャリア(もっと多いかもしれない)をしていて、大変じゃないのか?疲れないのだろうか?」と疑問は募るばかり。

会場からは、やはり、時間管理や仕事のモチベーションについての質問が多く上がった。


<ダブルキャリアをはじめる前と後での変化>

そもそも、須藤さんがダブルキャリアを始めたのは、入社○年目にさかのぼる。自身が異動となり、上司が変わったことがきっかけだった。上司と反りが合わず、自分はパフォーマンスを上げているにも関わらず仕事を外されることなどが続き、有り余っているパワーを発揮できる場所を求めたのだ。

学生時代から立ち上げていた就活応援サイトは、その頃、いくつかの企業から注目を集めるほどのサイトに成長しており、広告を出させて欲しいという話しがくるようにもなっていた。それをきっかけとし、また仕事上で培ったインターネットサイトの立ち上げに関する知識を活かして、今では(株)ログインにて、多くの会計事務所、法律事務所のWEBコンサルティングを行っている。


平日は、朝の9時から夜は終電まで、基本的にはリクルート内でめいっぱい働いているという須藤さん。忙しいはずだが、「声がかかる仕事はとりあえずやってみる」のだという。

それができる秘訣は何なのだろうか??


話を聞くと、「時間」と「パフォーマンス」に対する考え方にあるようだった。


「サラリーマンって楽でだなぁ、とよく思うんです」

仕事をする自分は「芸者」に譬えられる、という須藤さんは語ってくれた。芸者である自分は、たとえば会社では今、何を求められているのか?と考える。それが(芸者でいうと)歌になのか、演技なのか、踊りなのか??と。そして、今自分が求められていることに対して、「この30分、1時間で何をアウトプットするか?」(この限られた時間の中で求められていることは何なのか?)と。

さらには、期待されている(であろう)以上のことをやろう、と常に意識しているのも、須藤さんのすごいところだ。


きっと、1時間の中で、また一日で、そして一つのプロジェクトで、その時間・期間内でクライアント(所属している会社であれば、会社や上司になるだろう)に求められていることは何か?を常に意識しているからこそ、須藤さんの「時間」感覚が研ぎ澄まされているのではないか、と思う。働いている=会社で決められた就業時間いっぱい、もしくはそれ以上に働いているという「時間」だけで、“働いた感”がしている人は多い(自分もその一人かもしれない、、、と一瞬ドキっとする)。しかし、サラリーマンにとっては、会社から受け取る報酬=給料は、自分が求められたことに対して出した「成果」の対価だ。

今、自分が受け取っている給料に見合う働きをしているのか?もしくは、対価以上のパフォーマンスを上げているか・・・?期待以上のパフォーマンスを常に出していくことで、自分自身に力がつくし、当然のごとく報酬も上がっていく(実際、須藤さんは本業以上の報酬を“ダブルキャリア”で稼いでいる)。しかも、自己満足ではなく、期待に応え続けることで、周囲に喜ばれるから自分も嬉しい(だから、疲れない)。

聞けば当たり前に感じることかもしれないが、私自身、今一度、仕事と報酬の関係を見直すきっかけをもらった気がした。



それにしても、須藤さんのあまりにナチュラルな表情やゆったりとした雰囲気からは、「忙しさ」「殺伐とした感じ」は微塵も感じられない。

いったいどんな時間管理をしているのか?仕事量の多さでパンクしてしまわないのか?と

誰もが疑問に思うはずだ。

きっと、いろんな仕事に優先順位をつけて、やること、やらないことを分けているのだろうと思っていたら、「新しい仕事は、基本的には受けます。やるために、できるようにするために、どうするか?を考えるんです」という須藤さん。これにも驚かされた。

「今まで100%の力でやっていた仕事に、新しい30%の仕事が加わったとき、じゃぁ130%の力でやり続けるのか?それは不可能です。無理なのでイノベーションを起こさないといけない。そこで、130%の仕事を70%でできないか?と考える工夫が生まれる」と。

たとえば、今、自分がやっている仕事を、他の人に任せられないか?と考える。実際に、ダブルキャリアにおいて、須藤さんはそれまで自分がやっていた仕事を、全てアルバイトに任せられるように仕組み化したこともあるという。

これはまた、全部自分でやろうと思ってしまう癖のある自分自身、「痛いとこを突かれた!」と思ってしまった。仕事が増えたとき、「あ~今日は徹夜だ!」と、時間を延ばして何とかしよう、と思うことが、誰でもあるのではないだろうか?

でも、それは“工夫”とはいえない。だから、それでは自分の力も変わらない。先ほどの芸者=求められるパフォーマンスの話ともリンクするが、「限られた24時間をどう使うか?」見直すところが沢山ありそうだ。

そして、この「時間」×「パフォーマンス」を見直したとき、やりたいこととの両立、人によっては、須藤さんのような「ダブルキャリア」への一歩を踏み出せるのではないだろうか。


今回ご紹介した部分は、須藤さんから話を伺った、ほんの一部分だ。「ダブルキャリア」の部分をもっとご紹介しても良かったのだが、話しが大きく混乱をするかもしれない、と思い、一部、読んでいただく人が悩まれているであろう(私の勝手な想定だが)日々の時間管理や、仕事の仕方を見直すきっかけとなりそうな部分のみ、抜粋した。

ちなみに、直接話しを伺った私自身にはどんな影響があったか、というと。

この日を境に、「これは今の生活の中(時間)ではできない!」と、できないことを決め付けるのをやめた。言い訳もしなくなった(と自分では思っている)。これは、大きな進歩だと思う。やりたいことを諦めて、やらなければいけないことだけに時間を使っているのはもったいない。今日から、今の働き方を見直しやりたいことも存分にやる!

そんなカッコいい生き方をするきっかけにしてもらえれば、と思う。



株式会社ダブルキャリア について

http://www.doublecareer.com/

「会社に左右されず、キャリア構築をしたい!」「今の会社を辞めずに、もっと自由な働き方をしたい」といったホワイトカラーに対して、新しい働き方を提案している。登録者は一般の会社に所属しながら、一方「ダブルキャリア」を通して、自らの強みが発揮できる、異なる会社へ派遣をされ、仕事の報酬を得る。働く人には“自己実現”(副業)の場を提供し、企業には優秀な人材からのサービスを提供しているのである。

~ダブルキャリア 新しい働き方のススメ~


 仕事を辞めたい、転職したい。入社後3年以内に辞める人が30%もいる時代、仕事について悩んでいる人は多いと思います。社会人にとって仕事をしている時間は1日の大半を占め、その仕事がおもしろいと思えなかったり人間関係に悩んでいたら、辞めたい、転職したいと思うことは仕方ないことかもしれません。でもその前に、新しい働き方についても考えて欲しいのです。それはダブルキャリアという働き方です。


ダブルキャリアとは

 ダブルキャリアとは、本業の収入を補填するいわゆる「副業」とは違い、キャリアアップをするための「もう一つの仕事」という考えのものです。そして以下の3つのタイプに分類することができます。

予行演習型ダブルキャリア

 転職や企業を考えている人が、新しい仕事を試すために行うダブルキャリア。社会人のインターンシップ。

相乗効果型ダブルキャリア

 ダブルキャリアを行うことにより、本業にも好影響をあたえるようなダブルキャリア。 

他流試合型ダブルキャリア

 本業で得た知識・スキルを活かして、副業を行うタイプ。

 

 

須藤さんについて

私は今回、③のタイプのダブルキャリアをしている須藤さんという方からお話を聞いてくることができました。

 須藤さんはリクルートに勤めながら、他に2社のベンチャー企業の取締役を務め、個人でも業務委託で数社からの仕事の依頼を受けて働いています。そもそも須藤さんがなぜダブルキャリアをするようになったかというと、職場の人間関係の悩みからでした。上司とソリが合わず仕事も減らされてしまい、悩む日々。普通の人がとる選択肢は、ここで辞めてしまうか、我慢しながら働き続けるか。ところが仕事自体はおもしろかったということもあり、須藤さんは今の仕事も続けつつ、暇な時間を活かして何か別に新しいことを始めようと思い立ったのだそうです。

 3つも仕事を持っていると寝る暇もなく、休みもなくというイメージを考えがちですが、須藤さんは平日は朝8時~夜10時頃までみっちり働いているが週末は一切仕事をしないそう。実際お会いしてもとても自然体な方でした。


ダブルキャリアの長所

 ダブルキャリアとは、キャリアアップをすることが目的ですが、実際にダブルキャリアをすることによって得られることを須藤さんにお聞きしました。

 まず自分に何を求められているかを常に考えるようになり、時間の浪費がなくなったということ。たくさんの仕事をこなしていく上で、自分の限界がわかるようになり、自分でやるべき仕事と人に頼む仕事の区別ができるようになったこと。また、須藤さんのモチベーションの源泉ともなっていることですが、その場で喜んでもらえること(これは須藤さんの働き方がクライアント先に派遣されコンサルティングするという形態なため)、結果としてお金も入ってくるし、仕事の対価が目に見える形で評価されるということなどがあるそうです。何に対しての給与かはっきりとわかることによって、自然と責任感もつき自分をマネジメントできるようになったと言います。


ダブルキャリアをするためには

ダブルキャリアのタイプにもよりますが、須藤さんのように本業で得た知識・スキルを活かす働き方をするためには、当然ですが、自分の知恵・知識・スキルを人に伝えることができなければなりません。自分の成功体験を分解して、人に伝えることができる人、いわゆる選手として一流より監督として一流のような人の方が向いているようです。ですが、逆に今それができなくても、今からできるように努力をしていくことは可能です。


日々の仕事に活かせること

 須藤さんのお話を聞いていて、働き出してまだ半年ちょっとの私は自分の知識や経験を活かした働き方を具体的に想像することはできませんでした。ただ、今後そのような働き方を考えるにあたり、今から出来ること、やっておくべきことはたくさんあると感じました。

  • 場を読み、自分に何を求められているかを把握し、それ以上のものを返すようにする

  • 仕事には、頭を使わずにもできる「作業」と、頭を使わないとできない「知的労働」があり、それを理解することによって自分でやるべき仕事と人に頼む仕事の区別ができる

  • 自分の限界を決めない。自分の能力を超えた量の仕事を抱えるとイノベーションが働き、必死でどうにかできてしまうもの。仕事の量が増えたから徹夜をすればいいとう考え方ではなく、今までと同じ時間の中でやることはできないのかと考える。


これらは、須藤さんが日々仕事をする上で考えていることだそうですが、ダブルキャリアをしていない私たちも日々の仕事で出来ることであり、これらが出来るようになればダブルキャリアへの道に近づくことができるのではないかと感じました。



 ここまで、ダブルキャリアという働き方やそれによって得られることなどを簡単ではありますが紹介させていただきました。ダブルキャリアは分類できる3つのタイプ以上に、人それぞれ様々な働き方があると思います。

 今、仕事について・これからのキャリアについて悩んでいる方たちには、転職という道だけではなく、今の仕事を続けながら、別の仕事をするという働き方があると知ることで、新しい選択肢が増えたと考えていただけたらうれしいと思います。また、転職などを考えていない人も、本業へのリスクヘッジという考え方で別の働き方も考えることによって、会社への依存度も低くなり、より自立した働き方ができるのではないかと感じました。

 人生は一度きり、時間も限られています。しかしダブルキャリアはやり方によってはたくさんの仕事を同時に経験することができます。働き方も多様化してきている今、ダブルキャリアは今後より注目されていく働き方かもしれません。

現代の日本において、「働く」という行為はどういう意味を持つのだろうか。自分自身、社会人として労働をし、対価を頂き、それを糧に生活をしていると、当たり前になりすぎてその答えが見えにくくなることがよく有る。

 現在、新卒入社の人間が3年で3割辞めていくという統計が頻繁に発表される。「兄弟の少ない世代に生まれてきたから」「巷にモノが溢れて、苦労・我慢することを覚えてこなかったから」etc…人生の諸先輩方は異口同音にそうおっしゃる。それはそれで否定できない要素なのかもしれないが、自分はどうしても自分の中に噛み砕ききれずにいた。根性がどうとか、そんな事ではなく、もっとマクロな視点を持ってこの問題と向き合わないと、抜本的な改善策は見出せないと感じていた。

 そんなことを悶々と考えていた自分に、1つの転機が訪れた。会社の上司に声をかけていただき、とあるセミナーに参加させていただいたのである。2007年11月6日、都内某所にて、そのセミナーは開催された。その名も、「ダブルキャリアセミナー」。スピーカーは現在大手出版社に勤めるS氏である。

 簡単にS氏の略歴に触れると、彼は早稲田大学出身。学生時代よりネットビジネスなどを手掛け、早くから自分の能力をビジネスというフィールドで発揮してきた人物である。

新卒で現在勤める大手出版社に入社した。現在で入社5年目。話し方とその内容からは、彼がこれまで経験してきた事柄に起因する確かな自信を感じ取る事が出来る。

 その夜、彼がお題としたのは、「ダブルキャリア」という生き方・考え方だった。実は、私もこのセミナーに参加させてもらうまで、詳しくはどのようなモノを指すのかは理解していなかった。「ダブルキャリア」という言葉自体は耳にした事は有ったのだが、そこまで

興味を持って話を聴いた事が無かったというのが本音である。

 「ダブルキャリア」とは、簡単に言ってしまえば副業の事である。自分自身の持つキャリア・スキル等を活かし、本業とは別にフィールドを設け、そこで「副収入」を得る。そんなスタイルを指す。しかも、ボランティアの延長というようなスタイルではなく、完全なビジネスとして取り組む。

 S氏は、27歳という年齢でありながら、2社のベンチャー企業の取締役を務めている。その他にも、個人で業務委託により数社から仕事(主に、新規事業の立ち上げや出版の企画・プロモーションの企画等)の依頼を受けている。実に精力的に仕事に取り組む青年である。

しかも、彼はそれを嫌々こなしてはいない。一見した限りでは、自然体に楽しそうに、充実しているような印象を強く与える人物である。だが、S氏が勤める大手出版社は、中々多忙な会社として社会から認知されている。そんな彼が、仕事の合間を縫って本業以外のところでも自身の可能性を磨いていた。

傍から見たら、明らかに大変そうな仕事量をこなすS氏。しかし、ご本人は至って前向き且つ自然体。その訳を知りたくなって、幾つかの質問をぶつけたところ、数点キーワードが浮かび上がってきたように感じた。それは以下の通り。

*

自分の考え・意見がはっきりしている。

→常に物事を考え、理路整然と自分の意見を発信されていた。まず、目の前に有る現実を受け入れながらも、同時に懐疑的に向き合い、物事の本質を探り出す。

*

「今日よりも良い明日」を常に意識して生きる。

→何となく漫然と生きる事が許せない、というか我慢できないタイプの方なのかもしれないと感じた。一つ一つ自分の中で段階を設定し、確実にそのステップをこなすことで確かな前進をされているように感じる

普通に考えると、ごくごく当たり前に求められる事だと思う。しかし、その当然な事を当然にこなせるか否か、それが最も大切なポイントであると感じた。

向上心を持ち続ける為に、自身のキャリアフィールドに制限を持たせず、敢えて自分を新しく、厳しい環境に置いているともいえる。

 昨今、「働く意味」を考え、迷っている若者が多いのではないだろうか。今回のS氏を見ていると、「自分の成長」を軸とし、そこから派生して様々なアクションプランを練っているように感じる。しかも、論理的で冷静な思考に基づいたものである。

 あまり先々の事にまで想いを巡らさず、まずは目の前の物事に真摯に取り組む事が肝心なように感じられた。将来の事を考えると何かと不安はつき物だが、まずは「地道に積み上げていく」という意識が非常に大切になるだろう。何かと足元がおぼつかない時代だが、そんな時こそまずはじっくり構えて目の前の物に取り組む事が重要なのではないだろうか。

■いくつもの顔を持つ男

「お疲れさまです!」仕事を終えた須藤さんは午後8時にオフィスを出てタクシーに乗り込んだ。
向かった先は、とあるベンチャー企業の会議室。「今度の新しいWEBサービスについてですが・・」
その顔は昼間と同じく真剣そのものだが、どこか余裕さえ感じさせる。

実は須藤さんは、本業とは別の「顔」を持っている。
本業は、大手情報出版会社の事業開発部署での雑誌プランナーとしての仕事。
新しい雑誌の創刊や既存雑誌の販売増のための企画を立てている。
そして、それとは別に、あるときはWEBプロデューサーとして、またあるときには経営者として、
そしてときには編集長としての顔を持つ。

■仕事を干されて、仕事が増えた?!

本業が忙しくないかというとそんなことはない。その会社は業界でも有名なハードワークな会社。
ときには何日も徹夜をすることもある。ではなんでわざわざ本業以外の仕事もするのだろうか。
そもそもは、本業で仕事を干されたことがきっかけという。入社から3年目で異動になった部署で
上司とそりが合わなかったからだ。その上司は元国営の官僚的大手企業からの転職組。
上の言うことは絶対という考えを持っていた。
相手が誰であろうと言いたいことをずけずけと言う須藤さんとうまくいかなかったのも無理はなかった。
普通ならそこでくさってしまうところだが、あくまで須藤さんはポジティブだった。
仕事を回されず暇を持て余していた須藤さんに、会社の外から、とある依頼が舞い込む。
学生時代に遊び半分でつくったWEBサイトに、大手企業から広告を載せたいという話だった。
そのWEBサイトとは、人気企業の内定者のエントリーシートを集めて掲載するというもの。
須藤さんはあるベンチャー企業にその話を持ち込み、自ら取締役に就任し事業化を実現した。
いまでは、そりの合わなかった上司も須藤さんもともに異動し、本業も忙しくなったが、
別の「顔」は減るどころかどんどん増えていっている。

■コツは芸者魂と仕事のマネジメント

ではなぜ本業以外の仕事を増やすのだろうか。
自分のしたことに対して反応がダイレクトに返ってくることが一番大きいという。
うまくいけばその場ですぐ感謝されるし、収入という形に見える結果もついてくる。
時には月に何千万という売上げをあげるために追い込まれることもあるが、その分、自分の力もつく。
だから基本的に仕事の依頼があれば断らずやってみることにしている。
かといって、本業を辞めるつもりもない。サラリーマンの面白さもあるし、経営者としての辛さも
知っているからだ。経営者であれば、お金を稼いで従業員を養わなければならない。
ときには創業の理念を脇に寄せて、日銭を稼ぐこともしなければならないこともあるだろう。
その点、本業があれば、仕事をフェアにみることができ、言うべきことが言えるし、
かえってそれがお客様から感謝されることにつながると実感している。

もちろん、表には出さないが、両立するための努力は人一倍している。
人と話すときは、常に他人が自分に期待していることは何かを考え、それを超えることに徹底的にこだわる。
須藤さんはそれを、お座敷において自らの技によってさまざまなお 客様に感動を与える芸者に例える。
また、時間の浪費にも厳しくなった。自分がやるべき仕事(=知的労働)と、他の人でもできる作業は
徹底的に切り分け、後者は思い切って人に任せる。言うは易し行うは難し。
自らをマネジメントし、収入に見合った結果を出し続けないと続けていくことは難しい。
生半可な気持ちではできないことだ。

■新しいことを生み出すことが好き

そんな須藤さんの尊敬する人の一人は渋沢栄一だ。
渋沢は幕末から昭和初頭にかけて、第一国立銀行(現みずほ銀行)のほか、東京ガス、東京海上火災保険、
王子製紙、秩父セメント(現太平洋セメント)、帝国ホテル、秩父鉄道、京阪電気鉄道、東京証券取引所、
キリンビール、サッポロビールなど、500以上の企業の設立に関わり、日本資本主義の父とも言われる人物。
「新しいことを生み出すことが好き」という根本的な欲求を持っている須藤さんだが、自らは社長ではなく、
誰かをサポートすることが向いていると自覚している。
渋沢のように、新しい会社、産業の立ち上げをサポートしていくことに魅力を感じているのだろう。

■ダブルキャリアが

一昔前であれば、本業以外の仕事は「副業」と呼ばれ、どこか後ろめたい響きがあって、
あまり表立って広めるようなものではなかったかもしれない。普通の会社も副業にはいい顔はしないからだ。
しかし、須藤さんは、外の世界で得た経験が本業にも生かせていることを誰よりも知っている。
だから須藤さんはいま、自分のような働き方=「ダブルキャリア」を世の中に広める事業に携わっている。
企業が求めるサービスとそれに応えられる人をマッチングする事業だ。
特にベンチャー企業は社内リソースが少ないため、必要なリソースは外から調達しなければならない。
必要なリソースにはヒト、モノ、カネ、ジョウホウがあるが、なかでも一番難しいのはヒトだ。
これまで多くの企業からアドバイスを求められてきた須藤さんは、
世の中には、ユニークな商品を持っていてもそれを売り込む営業力のない会社や、
資金はあるけれどもそれを事業として形にする企画力のない会社が想像以上に多いことを実感した。
いま、須藤さんは、ベンチャー企業の各フェーズに特有の課題を見つけ出して整理し、その課題を解決できる
能力を持つ人材を派遣しようとしている。しかしそのサービスは目には見えにくいため、いま、サービスを
フォーマット化し、相場観を把握しようとしている最中だ。
それらのインフラが整えば、徐々に一般化しつつあるがまだまだハードルが高い転職という手段を使わずとも、
優秀な個人がいろんな事業にチャレンジできるようになるはずだ。

■まずは一歩踏み出そう

そうはいっても、そんなこと本当に可能なの?という疑問や、自分にそんなことができるの?という不安を
感じる人もいるだろう。でも、それは機会がなかっただけ。須藤さんのように、実際に体現している人が
いるのだから、不可能なことはないはず。仮に失敗しても本業さえしっかりしていれば食いっぱぐれることはない。
少しでも興味をもったのなら、まずは一歩踏み出してみることからはじめてみては。
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ダブルキャリアセミナー 第1回
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日程:11月6日(火)
時間:19時~21時
会場:ITコア セミナールーム

今回のスピーカーは
R25 須藤さん

すっかり、仕事に時間をとられて・・・ という状態であればこそ
須藤さんの話は聞き逃せないかもしれませんよ

何しろ、リクルートの仕事とは別に、自分の会社もやっている上に
いくつかの役員や新規事業のコンサルまで手がけています

リクルートの仕事のうち、自分じゃなくてもできるような企画書は
外部へ発注するなどして、自分の時間を創り出しています